ボール盤の手袋禁止は法令か|安衛則第111条と作業手袋の使用禁止
30秒でわかる要点
- 安衛則第111条は、回転する刃物に手が巻き込まれるおそれのあるとき、作業手袋を「使用させてはならない」と定めている。
- 対象として条文に挙がっているのはボール盤・面取り盤など。労働者側にも使用しない義務がかかる。
- 一方で第594条は、皮膚や眼に障害を与える物を扱う業務で保護手袋を「備えなければならない」としている。
- 同じ手袋でも、備える義務がかかる作業と、使用が禁止される作業がある。作業ごとに逆になる。
- 第110条は、頭髪や被服が巻き込まれるおそれのあるとき、作業帽や作業服の着用を義務づけている。
労働安全衛生規則第111条は、ボール盤や面取り盤など回転する刃物に手が巻き込まれるおそれのある作業では、事業者が労働者に作業手袋を使用させてはならないと定めています。
作業手袋の使用が禁止される作業がある|安衛則111条(第111条)
作業用手袋は付ければ安全になるもの、と思われがちですが、法令が使用を禁止している作業があります。労働安全衛生規則第111条の見出しはそのものずばり「手袋の使用禁止」です。
条文はこうです。「事業者は、ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならない。」
第2項は労働者側にも義務を課しています。「労働者は、前項の場合において、手袋の使用を禁止されたときは、これを使用してはならない。」事業者が禁止し、労働者も従う、という両方向の作りです。
※参考:労働安全衛生規則 第111条(手袋の使用禁止)|e-Gov法令検索(2026-08-22参照)
なぜ作業手袋が危険になるのか|巻き込まれの向き
回転する刃物に素手で触れた場合、傷は触れた範囲にとどまります。手袋をしていると、生地が刃物に引っかかった時点で手ごと引き込まれます。止めるものが無いまま腕まで巻き込まれることになります。
耐切創手袋であっても同じです。切れにくい生地ほど途中でちぎれず、引き込む力を最後まで伝えます。耐切創レベルの高い手袋が、この作業では不利に働きます。
条文が挙げているのはボール盤と面取り盤ですが、「等の回転する刃物」とあるので、旋盤やボール盤に類する回転工具も同じ考え方の対象になります。判断は作業ごとに行う必要があります。
※参考:労働安全衛生規則 第111条(手袋の使用禁止)|e-Gov法令検索(2026-08-22参照)
逆に保護手袋を備える義務がある作業もある|安衛則第594条
同じ規則の中に、手袋を備えることを義務づけている条文もあります。第594条「皮膚障害等防止用の保護具」です。
条文は、皮膚や眼に障害を与える物を取り扱う業務、有害物が皮膚から吸収されて健康障害や感染をおこすおそれのある業務について、「塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋、履物又は保護眼鏡等適切な保護具を備えなければならない」としています。
同じ規則の中で、備える義務がかかる作業と、使用が禁止される作業が並んでいます。作業用手袋は一律に「付ければ安全」でも「付けなければ違反」でもなく、作業ごとに逆になります。
| 条文 | 対象となる作業 | 求められること |
|---|---|---|
| 第111条 | ボール盤・面取り盤等、回転する刃物に手が巻き込まれるおそれのあるとき | 手袋を使用させてはならない |
| 第594条 | 皮膚や眼に障害を与える物を扱う業務など | 保護手袋等の保護具を備えなければならない |
| 第110条 | 動力で駆動する機械に頭髪や被服が巻き込まれるおそれのあるとき | 適当な作業帽または作業服を着用させなければならない |
※参考:労働安全衛生規則 第594条(皮膚障害等防止用の保護具)|e-Gov法令検索(2026-08-22参照)
作業帽と作業服にも同じ考え方がある|安衛則第110条
巻き込まれの対策は手袋だけではありません。第110条「作業帽等の着用」は、「動力により駆動される機械に作業中の労働者の頭髪又は被服が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に適当な作業帽又は作業服を着用させなければならない」としています。
第2項で労働者側にも「着用しなければならない」という義務がかかります。手袋は禁止、作業帽と作業服は着用義務、という組み合わせになる作業があるということです。
本サイトが扱う保護帽(作業用ヘルメット)は飛来落下物と墜落時保護を目的としたもので、第110条の作業帽とは目的が違います。回転する機械では、髪をまとめて帽子に収めることが目的になります。
※参考:労働安全衛生規則 第110条(作業帽等の着用)|e-Gov法令検索(2026-08-22参照)
作業手袋を選ぶ前に決めること
耐切創レベルやゲージ数を比べる前に、その作業が第111条に当たらないかを先に確認してください。当たる作業では、どれだけ性能の高い作業手袋を買っても使えません。
当たらない作業であれば、鋭利なものを扱うかどうかで耐切創レベルを、細かい作業かどうかでゲージ数を見ます。この2つは基本的に両立しないので、どちらを優先するかを先に決める形になります。
本サイトの作業手袋のページでは、耐切創レベル・ゲージ数・耐摩耗レベルを採点項目にして、用途別に順位を出しています。
※参考:現場装備|作業手袋の選び方とランキング(耐切創レベルとゲージ数の採点)(2026-08参照)
この記事に関係する装備で、迷ったらこれ
本文で扱った条件を満たす製品です。順位の根拠は各カテゴリのページに、 配点は採点方法に公開しています。
東和コーポレーション トワロン ActivGrip Advance KEV-S(EN407 耐熱つき)
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この記事に関係する装備のランキング
職種によって優先すべき条件は変わります。職種ごとの装備一式と概算費用は 職種別の一覧にまとめています。
よくあるご質問
作業手袋を使ってはいけない作業はありますか?
あります。労働安全衛生規則第111条は、ボール盤、面取り盤等の回転する刃物に作業中の労働者の手が巻き込まれるおそれのあるときは、当該労働者に手袋を使用させてはならないと定めています。
ボール盤の手袋禁止は法令で決まっていますか?してはいけない理由は?
生地が刃物に引っかかった時点で、手ごと引き込まれるためです。素手なら触れた範囲の傷で済むところが、手袋があると腕まで巻き込まれることになります。
耐切創手袋ならボール盤で使ってもよいのですか?
同じく使えません。切れにくい生地ほど途中でちぎれず、引き込む力を最後まで伝えます。耐切創レベルの高さはこの作業では不利に働きます。
保護手袋を備えなければならない作業もありますか?
あります。安衛則第594条は、皮膚や眼に障害を与える物を取り扱う業務などについて、不浸透性の保護衣・保護手袋・履物・保護眼鏡等の適切な保護具を備えなければならないとしています。
作業手袋の使用禁止は労働者側にも義務がありますか?
あります。安衛則第111条第2項は「労働者は、前項の場合において、手袋の使用を禁止されたときは、これを使用してはならない」と定めています。
巻き込まれ対策で作業帽や作業服の義務もありますか?
安衛則第110条が、動力により駆動される機械に頭髪または被服が巻き込まれるおそれのあるとき、適当な作業帽または作業服を着用させなければならないと定めています。
参考文献
- 労働安全衛生規則 第111条(手袋の使用禁止)|e-Gov法令検索
- 労働安全衛生規則 第111条(手袋の使用禁止)|e-Gov法令検索
- 労働安全衛生規則 第594条(皮膚障害等防止用の保護具)|e-Gov法令検索
- 労働安全衛生規則 第110条(作業帽等の着用)|e-Gov法令検索
- 現場装備|作業手袋の選び方とランキング(耐切創レベルとゲージ数の採点)
最終更新:2026-09-09