職場の熱中症は2025年に1,803人で過去最多|統計と、2025年6月からの義務
30秒でわかる要点
- 2025年の職場の熱中症は死傷者1,803人で、前年比約43%増、統計開始以降で最多。
- 一方、死亡者は19人で前年比約39%減。死傷は増えたが死亡は減っている。
- 業種別の死傷は製造業365人・建設業292人。死亡は建設業5人・警備業3人が上位。
- 2025年の死傷の約72%が7月と8月に集中。時間帯は午前中と15時台の山が大きい。
- 2025年6月1日から、暑熱な場所での作業に報告体制の整備と手順の作成・周知が義務づけられた。
職場の熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は2025年に1,803人となり、統計を取り始めた2005年以降で最多になりました。
職場の熱中症は2025年に死傷1,803人で過去最多になった
厚生労働省が公表した確定値によると、2025年に職場で発生した熱中症による死傷者(死亡と休業4日以上の合計)は1,803人でした。2024年の1,257人から約43%増え、統計を取り始めた2005年以降で最も多くなっています。
一方で死亡者は19人と、2024年の31人から約39%減っています。倒れる人は増え、亡くなる人は減った、という形です。
厚生労働省は、2025年夏(6月〜8月)の平均気温偏差が+2.36℃と統計開始以来最高だったことを死傷者増加の一因と推測しています。
| 年 | 死傷者数 | 死亡者数 |
|---|---|---|
| 2021年 | 561 | 20 |
| 2022年 | 827 | 30 |
| 2023年 | 1,106 | 31 |
| 2024年 | 1,257 | 31 |
| 2025年 | 1,803 | 19 |
※参考:厚生労働省|令和7年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)(2026-08-22参照)
熱中症の業種別の内訳は、死傷と死亡で上位が入れ替わる
2025年の死傷者1,803人を業種別に見ると、製造業365人、建設業292人の順に多くなっています。この2業種は2021年以降のどの年も全体の約4割を占めています。
ところが死亡者19人で見ると、順位が変わります。最も多いのは建設業の5人、次いで警備業の3人です。2021年から2025年の5年計でも、死亡者131人のうち建設業が52人(39.7%)、警備業が18人(13.7%)を占めています。
死傷の数と死亡の数で上位が入れ替わるのは、屋外・単独・移動をともなう作業では、倒れてから発見されるまでの時間が長くなりやすいためと考えられます。実際、2025年の死亡19件のうち15件は屋外で発生しています。
| 業種 | 死傷者数 | 死亡者数 |
|---|---|---|
| 製造業 | 1,063人 | 15人 |
| 建設業 | 1,038人 | 52人 |
| 運送業 | 742人 | 7人 |
| 清掃・と畜業 | 623人 | 12人 |
| 警備業 | 614人 | 18人 |
| 商業 | 347人 | 5人 |
※参考:厚生労働省|2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)(2026-08-22参照)
熱中症が起きる月と時間帯は、7月・8月の午前中と15時台に山がある
2025年の死傷者1,803人のうち、約72%が7月と8月の2か月に集中しています。月別では7月718人、8月583人、6月268人、9月188人でした。死亡者19人でも約79%が7月と8月に集中しています。
時間帯別では、2025年は9時台以前が229人、11時台が202人、15時台が233人、14時台が226人と、午前中と15時前後に山があります。ただし日中のどの時間帯にも発生しています。
見落としやすいのが終業後です。厚生労働省は、気温が下がった17時台や18時台以降に死亡に至るケースについて、日中は重篤な症状がみられなかったのに作業終了後や帰宅後に体調が悪化した事案が含まれる、と記載しています。2021年から2025年の5年間で、18時台以降の死亡は13人でした。
※参考:厚生労働省|2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)(2026-08-22参照)
2025年6月から、暑熱な場所での作業に安衛則の義務がかかっている
2025年4月15日に公布された労働安全衛生規則の改正省令(令和7年厚生労働省令第57号)により、第612条の2が新設され、同年6月1日から施行されています。
対象となる「暑熱な場所」は、WBGT(湿球黒球温度)が28度以上または気温が31度以上の場所です。そのうえで「継続して1時間以上、または1日あたり4時間を超えて行われることが見込まれる作業」が対象になります。出張先での作業や、作業場所から作業場所への移動時も含まれると通達に明記されています。
事業者に課されたのは2つです。ひとつは、自覚症状がある人や、熱中症の疑いがある人を見つけた人が報告できる体制を整えて周知すること。もうひとつは、作業からの離脱・身体冷却・必要に応じた医師の診察といった措置の内容と手順を作業場ごとに定めて周知することです。
この改正で対象となる「作業者」の範囲は広く取られています。通達には、労働者だけでなく、労働者と同一の場所でその作業に従事する労働者以外の者を含む、と書かれています。元請の現場に入る一人親方も、この体制と手順の周知の対象に含まれることになります。
- 対象の場所:WBGT28度以上、または気温31度以上
- 対象の作業:継続1時間以上、または1日4時間超が見込まれるもの
- 義務1:報告体制の整備と周知(安衛則第612条の2第1項)
- 義務2:措置の内容と実施手順の作成・周知(同第2項)
- 対象者:労働者に限らず、同じ場所で同じ作業に従事する労働者以外の者も含む
※参考:厚生労働省労働基準局長|基発0520第6号「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(2026-08-22参照)
熱中症は装備だけでは防げない|統計から言えることと言えないこと
厚生労働省のガイドラインは、熱中症リスクとなり得る有害性として、高温・多湿な作業環境、連続作業、通気性や透湿性の低い衣服・保護具、身体作業負荷の大きい作業の4つを挙げています。衣服と保護具はそのうちの1つで、保護帽や防じんマスクのように外せないものも含まれます。
対策としても、風通しの良い衣服の採用や身体冷却機能を持つ服の着用は挙げられていますが、それだけではありません。作業場所のWBGT値の低減、休憩場所の整備、作業時間の短縮、暑熱順化(7日以上かけた作業時間の調整)、水分・塩分の摂取、作業前の体調確認が並んで示されています。
実際、厚生労働省が公表した2025年の死亡災害19件の事例には、ファン付き作業服を着用して選別作業に従事していた40歳代の方が、終業前の屋外清掃中に意識を失い、3か月後に死亡した事案が含まれています。装備を着けていたことは、亡くならないことを意味しませんでした。
この統計から言えるのは、いつ・どの業種で・何人が倒れているかまでです。何を着ていれば防げたかは、統計からは分かりません。本サイトは装備の数値を比べる場所であり、装備を買うことが熱中症対策になると述べるものではありません。
※参考:厚生労働省|職場における熱中症防止のためのガイドライン(概要)(2026-08-22参照)
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よくあるご質問
職場の熱中症の死傷者数は何人ですか?
2025年は1,803人(死亡と休業4日以上の合計)で、2024年の1,257人から約43%増え、統計を取り始めた2005年以降で最多です。うち死亡者は19人でした。
熱中症の労働災害が多い業種はどこですか?
2025年の死傷者では製造業365人、建設業292人の順です。死亡者では建設業5人、警備業3人が上位で、死傷と死亡で順位が入れ替わります。
熱中症は何月・何時に多いですか?
2025年の死傷者の約72%が7月と8月に集中しています。時間帯は9時台以前と15時台に山がありますが、日中のどの時間帯でも発生しています。
安衛則の熱中症対策の義務はいつから始まりましたか?
2025年6月1日です。労働安全衛生規則第612条の2が新設され、報告体制の整備と、措置内容・実施手順の作成および周知が事業者に義務づけられました。
熱中症対策の義務の対象になるWBGTと作業時間の条件は何ですか?
WBGT28度以上または気温31度以上の場所で、継続1時間以上または1日4時間を超えて行われることが見込まれる作業です。移動時や出張先での作業も含まれます。
一人親方も熱中症対策の義務の対象に含まれますか?
通達には、対象となる作業者に、労働者だけでなく同一の場所で当該作業に従事する労働者以外の者を含む、と記載されています。元請の現場に入る一人親方も体制と手順の周知の対象に含まれます。
参考文献
- 厚生労働省|令和7年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)
- 厚生労働省|2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)
- 厚生労働省|2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)
- 厚生労働省労働基準局長|基発0520第6号「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」
- 厚生労働省|職場における熱中症防止のためのガイドライン(概要)
最終更新:2026-08-22